JCOGの基本情報医学物理ワーキンググループ Medical Physics Working Group: MPWG

  • グループ長:西尾禎治(東京女子医科大学)
  • 主メンバー:中村光宏(京都大学大学院)
    木藤哲史(がん・感染症センター都立駒込病院)
    峯村俊行(国立がん研究センターがん対策情報センター)
    岡本裕之(国立がん研究センター中央病院)
    熊崎 祐 (埼玉医科大学国際医療センター)

  • 設立:2011年

医学物理ワーキンググループの役割

医学物理ワーキンググループは、医学物理的観点から臨床試験の支援や放射線治療の品質の保証及び研究の提案をすることを目的とする、医学物理士を中心に構成されたワーキンググループです。
JCOG放射線治療グループは、高精度放射線治療を用いた幾つかの多施設共同臨床試験を実施しています。多施設共同臨床試験を実施する上で、投与線量や照射位置などの施設間のばらつきを低減することや登録患者がプロトコールを遵守して治療されたことを確認することは、臨床試験の安全性や結果の信頼性向上に直結します。
医学物理ワーキンググループは、医学物理的観点から臨床試験プロトコール作成に参画し、参加施設への包括的な物理検証を実施しています。
例えば、強度変調放射線治療(IMRT)や粒子線治療(陽子線治療等)を用いた臨床試験では、参加施設の投与線量の品質を確認する方法として、治療計画から照射までの一貫したプロセス及びその評価方法を確立しました。また、体幹部定位放射線治療を用いた臨床試験では、治療計画装置における小照射野の線量計算精度確認方法や郵送型の照射位置精度評価方法を確立しました。そして、全国の参加施設に対して、これらの物理検証を実施し、放射線治療の品質を担保しています。さらに、高精度放射線治療を用いた臨床試験に登録された全患者の治療計画及び照射録を確認し、プロトコール遵守率の向上に貢献しています。一方、海外の臨床試験グループと協調して、放射線治療品質保証・品質管理の標準化に資する活動ならびに新規品質保証・品質管理システムの開発を推進しています。
医学物理ワーキンググループの研究成果を世に広く発信し、将来的にJCOGの枠を超えた国内外での標準治療の進歩においても大きな役割を果たしていきたいと考えております。

医学物理研究事務局の役割

各試験の医学物理研究事務局は、医学物理ワーキンググループの一員です。医学物理研究事務局は、放射線治療を含むJCOG試験において、臨床試験プロトコ-ルを放射線治療グループ研究事務局と連携し、プロトコール内の医学物理的な事案やcredentialingに必要な物理検証項目について、医学物理ワーキンググループと共に具体的に決定する役割を担っています。
臨床試験の附随研究を行う場合には、医学物理ワーキンググループと連携して放射線治療研究事務局に提案し、実施します。
credentialingにおいては、各施設に対して臨床試験に必要な物理検証項目を連絡し、検証結果の報告書送付等を通して、必要な支援や相談を行います。
その他、各施設からの医学物理的な事項に関する質問への対応や、臨床試験登録患者の治療手法(認証された計画装置、照射装置等が使用されているか)、輪郭の描出や線量計算結果等がプロトコールを遵守しているかを確認し、放射線治療研究事務局に報告しています。

論文一覧

  1. 論文
    1. 医学物理ワーキンググループが直接報告した論文
      1. T Nishio, E Kunieda, H Shirato, et al.: Dosimetric verification in participating institutions in a stereotactic body radiotherapy trial for stage I non-small cell lung cancer: Japan Clinical Oncology Group trial (JCOG0403). Phys Med Biol. 51: 5409-5417, 2006.
      2. T Nishio, H Shirato, M Ishikawa, et al.: Design, development of water tank-type lung phantom and dosimetric verification in institutions participating in a phase I study of stereotactic body radiation therapy in patients with T2N0M0 non-small cell lung cancer: Japan Clinical Oncology Group trial (JCOG0702). J Radiat Res. 55: 600-607, 2014.
      3. S Hatanaka, Y Miyabe, N Tohyama, et al.: Dose calculation accuracies in whole breast radiotherapy treatment planning: a multi-institutional study. Radiol Phys Technol. 8: 200-208, 2015.
      4. M Nakamura, T Minemura, S Ishikura, et al.: An on-site audit system for dosimetry credentialing of intensity-modulated radiotherapy in Japanese Clinical Oncology Group (JCOG) clinical trials. Phys Med. 32: 987-991, 2016.
      5. D Kawahara, S Ozawa, T Kimura, et al.: Marginal prescription equivalent to the isocenter prescription in lung stereotactic body radiotherapy: preliminary study for Japan Clinical Oncology Group trial (JCOG1408). J Radiat Res. 58(1): 149-154, 2017.
      6. H Okamoto, N Murakami, C Carvajal, et al.: Positional uncertainty of vaginal cuff and feasibility of implementing portable bladder scanner in postoperative cervical cancer patients. Phys Med. 45: 1-5, 2018.
      7. H Okamoto, T Minemura, M Nakamura, et al.: Establishment of postal audit system in intensity-modulated radiotherapy by radiophotoluminescent glass dosimeters and a radiochromic film. Phys Med. 48: 119-126, 2018.
      8. Y Kumazaki, S Ozawa, M Nakamura, et al.: An end-to-end postal audit test to examine the coincidence between the imaging isocenter and treatment beam isocenter of the IGRT linac system for Japan Clinical Oncology Group (JCOG) clinical trials. Phys Med. 53: 145-152, 2018.

    2. 医学物理ワーキンググループが関連した論文
      1. M Hussein, E Clementel, D Eaton, et al.: A virtual dosimetry audit – towards transferability of gamma index analysis between clinical trial QA groups. Radiother Oncol. 125: 398-404, 2017.

    3. ガイドライン・総説・解説
      1. 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会QA委員会, 厚生労働省平岡班体幹部定位放射線治療ガイドライン作成作業部会: 体幹部定位放射線治療ガイドライン. 日本放射線腫瘍学会. 2005.
      2. 大西洋, 平岡真寛 監修: 体幹部定位放射線治療-ガイドラインの詳細とマニュアル-. 中外医学社. 2006.
      3. 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会QA委員会, IMRT物理QAガイドライン専門小委員会: 強度変調放射線治療における物理・技術的ガイドライン2011年版. 日本放射線腫瘍学会. 2011年4月26日.
      4. 公益社団法人日本放射線腫瘍学会, 他: 画像誘導放射線治療臨床導入のためのガイドライン2011年版. 日本放射線腫瘍学会. 2011年9月23日.
      5. 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会, 他: 呼吸性移動対策を伴う放射線治療に関するガイドライン2012年版. 日本放射線腫瘍学会, 他. 2012年6月2日.
      6. 遠山尚紀, 幡野和男 監修: 詳説 強度変調放射線治療-物理・技術ガイドラインの詳細-. 中外医学社. 2010.
      7. 岡本裕之, 黒岡将彦, 脇田明尚, 他: 詳説 放射線治療の精度管理と測定技術-高精度放射線治療に対応した実践Q&A-. 中外医学社. 2012.
      8. 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会, 他: 粒子線治療装置の物理・技術的QAシステムガイドライン2016年版. 日本放射線腫瘍学会. 2016.
      9. 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会, 他: 外部放射線治療におけるQAシステムガイドライン2016年版. 金原出版株式会社. 2016.
      10. 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会編: 放射線治療計画ガイドライン2016年版. 金原出版株式会社. 2016.
  2. 主な学会発表
    1. 医学物理ワーキンググループが直接報告した発表
      1. T Nishio, M Shimbo, E Kunieda, et al.: Quality assurance of radiotherapy treatment planning system prior to stereotactic irradiation for lung tumor trial: Japan Clinical Oncology Group (JCOG) study. The 23th ESTRO Meeting. Oct 2004.
      2. 西尾禎治, 石川正純, 小澤修一, 他: 水タンク式肺ファントムを利用した治療計画装置の線量計算精度検証. 日本医学物理学会第99回学術大会. 2010年4月.
      3. 畑中星吾, 遠山尚紀, 岡本裕之, 他: 施設間における治療計画装置の線量計算精度の標準化に向けた基礎的検討-乳房接線照射-. 第23回日本放射線腫瘍学会. 2010年10月.
      4. T Nishio, H Shirato, M Ishikawa, et al.: Development of a water tank-type lung phantom for dose verification and credentialing of lung SBRT clinical trial. ESTRO 33. Apr 2014.
      5. H Okamoto, N Murakami, T Toita, et al.: Multi-institutional comparison of IMRT treatment planning for postoperative cervical cancer patients. The 73rd Annual Meeting of the Japan Radiological Society. Apr 2014.
      6. 西尾禎治, 岡本裕之, 峯村俊行, 他: 放射線治療多施設共同試験における包括的医学物理検証体制の構築. 日本医学物理学会第110回学術大会. 2015年9月.
      7. 西尾禎治, 河野良介, 堀田健二, 他: 肝臓陽子線治療の多施設臨床試験実施に向けた物理線量検証. 日本粒子線治療臨床研究会第12回学術大会. 2015年9月.
      8. Y Kumazaki, S Kito, M Nakamura, et al.: Development of a postal audit method for IGRT credentialing in multi-institutional clinical trials in Japan. 111th Scientific Meeting of JSMP. Apr 2016.
      9. 西尾禎治, 加瀬優紀, 堀田健二, 他: JCOG1315多施設臨床試験肝臓陽子線治療における医学物理検証法. 日本粒子線治療臨床研究会第13回学術大会. 2016年10月.

    2. 医学物理ワーキンググループが関連した発表
      1. 石川正純, Sutherland Kenneth, 峯村俊行, 他: 第三者評価におけるGradient法を用いたフィルム線量分布解析の合格基準に関する考察. 日本放射線腫瘍学会第25回学術大会. 2012年11月.
      2. 石川正純, 小島秀樹, 橘英伸, 他: スキャナを用いたフィルム線量解析における実用的な誤差低減法. 日本医学物理学会第106回学術大会. 2013年9月.
      3. 石川正純, 峯村俊行, 橘英伸, 他: JCOG多施設共同研究におけるGradient法を用いたIMRT Credentialingの検討. 日本放射線腫瘍学会第26回学術大会. 2013年10月.
      4. M Ishikawa, T Minemura, H Tachibana, et al.: Consideration of pass criteria for IMRT credentialing using the Gradient method in multi-institutional clinical trials. The 73rd Annual Meeting of the Japan Radiological Society. Apr 2014.
      5. M Ishikawa, T Minemura, H Tachibana, et al.: Consideration of pass criteria for IMRT credentialing using the Gradient method in multi-institutional clinical trials. The 7th JSMP-KSMP Joint Meeting on Medical Physics. Sep 2014.
      6. 石川正純, 峯村俊行, 岡本裕之, 他: 大型PTVに対するIMRT多施設共同研究における物理的Credentialingの検討. 日本放射線腫瘍学会第27回学術大会. 2014年12月.
      7. H Okamoto, Y Abe, S Nakamura, et al.: Multi-institutional study of assessment of source dwell position in brachytherapy, 111th Scientific Meeting of JSMP. Apr 2016.
      8. 加瀬優紀, 西尾禎治, 瀬川達矢, 他: 陽子線治療の訪問調査のための肝臓模擬ファントムの線量測定運用試験. 日本放射線腫瘍学会第29回学術大会. 2016年11月.
      9. 岡本裕之: 第59回日本婦人科腫瘍学会学術講演会シンポジウム「婦人科腫瘍に対する高精度放射線治療:現状と今後の展望 -放射線治療における医学物理士の役割-」. 2017年7月.
      10. 小澤修一: 体幹部定位放射線治療の臨床試験における呼吸性移動への対応. 第30回高精度放射線外部照射部会学術大会シンポジウム3「IMRTにおける呼吸性移動問題」. 2017年3月.
      11. T Nishio, “Activity of Medical Physics Working Group in clinical trial for radiotherapy,” Lunch Time Lecture 1, The 115th Scientific Meeting of JSMP, Yokohama, April 12-15, 2018.
トップへ戻る